サロンの回数券・コース契約と特商法|クーリング・オフ、概要書面、中途解約の基本

サロンの回数券・コース契約と特商法|クーリング・オフ、概要書面、中途解約の基本

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別のケースは消費生活センターや弁護士等の専門家にご確認ください。

「10回コースを契約したお客様から、3回目で解約したいと言われた」。回数券やコース契約を扱うサロンでは、いつか必ず出てくる場面です。そのとき慌てないために、エステの契約にかかわる法律の基本を押さえておきましょう。

目次

期間1か月超・金額5万円超のエステ契約は特商法の対象

エステティックの契約は、特定商取引法(特商法)の「特定継続的役務提供」にあたる場合があります。対象になるのは、次の2つの条件を両方満たす契約です。

条件内容
契約期間1か月を超える
契約金額5万円を超える(関連商品も含めた総額)

たとえば「10回コース 8万円・有効期限6か月」は、両方を満たすので対象です。一方、「5回券 4万円」は金額が5万円以下なので対象外、「1回 6万円の単発施術」は期間が1か月以内なので対象外です。

ポイント
特商法の対象になると、サロンには書面の交付義務があり、お客様にはクーリング・オフと中途解約の権利が認められます。「店のルール」で解約を断ることはできません。

契約の前後で必要な2種類の書面

書面渡すタイミング主な内容
概要書面契約を結ぶ前サービス内容、料金、期間、関連商品、クーリング・オフや中途解約のルールなど
契約書面契約を結んだあと、すぐに契約内容の詳細、契約日、クーリング・オフについての記載など

注意
書面に不備があったり渡していなかったりすると、8日を過ぎてもクーリング・オフが認められることがあります。テンプレートを自作する場合も、必要な記載事項がそろっているか、専門家や業界団体の雛形で確認しておきましょう。

なお、2023年6月からは、お客様の承諾を得れば契約書面などを電子メール等で渡すこともできるようになりました。承諾の取り方にもルールがあるため、電子化する場合は手順を確認してから導入してください。

サロンの回数券・コース契約と特商法|クーリング・オフ、概要書面、中途解約の基本

クーリング・オフは契約書面を受け取ってから8日以内

お客様は、契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、理由を問わず無条件で契約を解除できます。店頭で契約した場合でも同じです。

  • サロンは受け取った代金を全額返金する
  • 施術をすでに行っていても、その料金は請求できない
  • 違約金や解約手数料も請求できない

一緒に購入した化粧品やホームケア機器などの関連商品もクーリング・オフの対象です。ただし、化粧品や健康食品などの消耗品をお客様が使ってしまった場合は、その分は対象外になります。

8日を過ぎても、中途解約はできる

クーリング・オフの期間が過ぎても、お客様は理由を問わず契約を途中で解約できます。このとき、サロンが請求できる金額には上限があります。

解約のタイミングサロンが請求できる上限
施術を始める前2万円
施術を始めたあと受けた施術の料金 +(2万円 または 契約残額の10%のうち、低いほう)

たとえば「10回コース 10万円(1回あたり1万円)」で3回受けたあとに解約した場合、受けた施術の料金は3万円、残額7万円の10%は7,000円です。サロンが受け取れるのは最大で3万7,000円で、残りの6万3,000円は返金が必要です。

「割引前の単価」で精算できる?
コース割引をしている場合でも、受けた施術の料金を通常の単価で計算し直すと、返金額が不当に少なくなりトラブルの原因になります。精算方法は概要書面・契約書面にあらかじめ明記しておきましょう。

参考:京都府消費生活安全センター、広島県生活センター

トラブルを防ぐために、サロン側で準備しておくこと

  1. 自分のメニューの中で、特商法の対象になる回数券・コースを書き出す
  2. 概要書面・契約書面のテンプレートを用意し、記載事項を確認する
  3. 解約時の精算方法(単価の計算方法)を書面に明記する
  4. 契約日・書面を渡した日・施術の消化回数を、カルテや予約システムで記録する
  5. カウンセリングで「解約できること」も含めて丁寧に説明する

消化回数や書面の交付日は、あとから確認できることが大切です。予約・顧客管理システムやカルテ管理で記録しておくと、解約時の精算もスムーズです。

決済サービスでも回数券の扱いに注意

回数券やコースをカード決済で受けたい場合、決済サービスによっては、金額と有効期限の組み合わせによって利用できないことがあります。導入前に必ず規約を確認しましょう。

回数券に対応した決済会社をご紹介できます
JELでは、エステの回数券・コース契約に対応した決済サービスをご紹介しています。「今のメニューでカード決済が使えるか知りたい」という段階でも、お気軽に公式LINEからご相談ください。

現役オーナーの実感

現役サロンオーナー 石賀

当サロンでは、お客様とのトラブルを最大限に回避するため、回数券をご案内するお客様を限定しています。
回数券を運用するうえで、最も大切なのは、回数券の販売代金を当月の売上として捉えるのではなく、今後提供する施術に対する「前受金」としてお預かりしているという認識を忘れないことです。
回数券は、単に売上をつくるためのものではありません。
お客様にとっては、お得に継続して施術を受けられるメリットがあり、サロンにとっては、定期的にご来店いただくことで、お客様のお悩みに継続的に向き合い、施術の結果につなげやすくなるというメリットがあります。
この双方のメリットは、お客様との信頼関係があってこそ成り立つものです。
だからこそ、お客様のご要望や通える頻度、施術の必要性などをしっかりと見極め、回数券が本当に適しているお客様にのみご案内することが大切です。
目先の売上を優先するのではなく、お客様にとって本当に価値のある提案をすること。
そして、お預かりした回数分の施術を責任を持って提供し、お客様に満足していただくこと。
この考え方をスタッフ全員が共有し、回数券を正しく、誠実に運用していきましょう。

ディーラー目線で一言

機器を導入したばかりのサロンさんほど、「早く投資を回収したい」と高額の長期コースを組みがちです。
でも、解約時のルールを知らずに販売すると、返金トラブルで信頼も売上も失いかねません。お客様が「いつでもやめられる」と安心できる契約のほうが、結果的に長く通っていただけます。ルールを味方につけることが、長く続くサロンの条件だと感じています。

まとめ

  • 期間1か月超・金額5万円超のエステ契約は特商法の対象
  • 契約前に概要書面、契約後すぐに契約書面を渡す
  • クーリング・オフは契約書面の受け取りから8日以内、関連商品も対象
  • 中途解約の請求には上限がある。精算方法は書面に明記する

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