こんにちは、井上です。ディーラーとして15年以上、開業相談に乗ってきた中で「手続き関係が一番わからなかった」という声を本当によく聞きます。
エステサロンの開業に必要な手続きは、大きく分けて3つあります。①開業届(税務署)、②保健所への届出、③特定商取引法に基づく表記です。
この記事では、それぞれを「何のために必要か」「どこに・何を・いつまでに」という観点でまとめました。難しく考えすぎず、一つひとつ確認してください。
手続き① 開業届(税務署)

開業届とは?
個人事業としてサロンを開業する場合、税務署に「開業届」を提出する義務があります。正式名称は「個人事業の開廃業届出書」といいます。
ℹ️ 開業届の基本情報
提出先:住所地を管轄する税務署
期限:開業から1ヶ月以内
費用:無料
提出方法:窓口持参・郵送・e-Tax(オンライン)
開業届を出すメリット
- 青色申告ができるようになる:最大65万円の特別控除が受けられ、税負担が大幅に減ります
- 屋号で口座が作れる:「○○エステサロン」名義の銀行口座を作れます
- 小規模企業共済に加入できる:経営者向けの退職金制度です
青色申告承認申請書も一緒に出す
開業届と同時に「青色申告承認申請書」も提出することを強くおすすめします。青色申告にすることで、最大65万円の控除が受けられます。申請期限は原則として開業から2ヶ月以内です。
ℹ️ 開業届の入手方法
① 税務署の窓口でもらう
② 国税庁のホームページからダウンロード(「個人事業の開廃業届出書」で検索)
③ マネーフォワードやfreeeなどの会計ソフトで自動作成できる場合あり
法人として開業する場合
株式会社や合同会社として開業する場合は、開業届ではなく法人設立登記が必要です。費用と手間がかかりますが、信頼感・節税面でのメリットもあります。開業当初は個人事業主から始めて、売上が安定してから法人化を検討するオーナーさんが多いです。
手続き② 保健所への届出
エステサロンは保健所の届出が必要?
ここは混乱する方が多いポイントです。結論から言うと、エステサロン(フェイシャル・ボディの施術)は原則として保健所への届出は不要です。ただし、施術内容によっては必要になるケースがあります。
| 施術内容 | 保健所届出 | 根拠法 |
|---|---|---|
| フェイシャルエステ(機器なし・手技のみ) | 不要 | — |
| ボディエステ(手技・アロマなど) | 不要 | — |
| まつ毛エクステ(アイラッシュ) | 必要 | 美容師法 |
| 眉毛カット・シェービング | 必要 | 理容師法・美容師法 |
| ネイルサロン(アクリル・ジェルなど) | 不要 | —(ただし確認推奨) |
| 光脱毛・レーザー脱毛 | 必要(医療行為) | 医師法・医療法 |
「生活衛生法」による届出が必要な場合
施術の内容ではなく、施設の形態によって届出が必要なケースがあります。特に「美容所」として認定される施設は、生活衛生法に基づく保健所への届出と検査が必要です。
迷った場合は開業前に管轄の保健所に直接確認するのが最も確実です。「エステサロンを開業しようと思っているのですが、届出は必要ですか?」と聞けば教えてもらえます。
手続き③ 特定商取引法に基づく表記
特定商取引法とは?
特定商取引法(特商法)は、消費者を守るための法律です。エステサロンが関係するのは主に2つの場面です。
- 継続的役務提供:コース契約(5回・10回など)で一定期間・一定回数の役務を提供する場合
- 通信販売:ホームページやSNSで商品を販売する場合
ホームページ・サイトへの記載(特商法表記)
ウェブサイトで商品販売やコース契約を受け付ける場合、「特定商取引法に基づく表記」ページの設置が義務です。記載しないと行政処分の対象になる可能性があります。
ℹ️ 特商法表記に記載すべき内容
① 販売業者の名称(屋号または氏名)
② 代表者名または責任者名
③ 所在地(住所)
④ 電話番号
⑤ メールアドレス
⑥ 販売価格(税込)
⑦ 商品・サービスの代金以外の費用(送料など)
⑧ 支払方法・支払時期
⑨ サービス提供時期
⑩ キャンセル・返金ポリシー
自宅サロンの住所を非公開にしたい場合
自宅サロンの場合、住所の公開に抵抗がある方も多いです。特商法では住所の記載が原則義務ですが、請求があれば速やかに開示できる体制を整えた上で「請求があり次第提供します」と記載することで、初期表示を省略できる場合があります。
ただしこのグレーゾーンは解釈が変わることもあります。不安な場合は消費者庁の窓口か行政書士にご相談ください。
コース契約(継続的役務提供)の注意点
5回・10回などのコース契約を行う場合、特定商取引法に基づくクーリングオフの規定が適用されます。
その他あわせて確認しておくべき手続き
| 手続き | 必要なケース | 備考 |
|---|---|---|
| 損害賠償保険への加入 | 全員 | 施術中の事故に備えて必ず加入。年間1〜3万円程度 |
| プライバシーポリシーの設置 | ウェブサイト運営者 | 個人情報取り扱いの方針をサイトに記載 |
| JASRAC届出 | BGMを流す場合 | 著作権のある音楽を流す場合は申請・費用が必要 |
| 消防法の確認 | 店舗開業の場合 | 避難経路・消火器の設置など |
| Googleビジネスプロフィール登録 | 推奨 | 地域検索に表示される。無料で登録可能 |
| インボイス制度(適格請求書) | 法人顧客がいる場合 | 個人のお客様のみなら当面不要な場合が多い |
手続き関係の相談もJELで受けています

「自分の場合はどの手続きが必要か」「特商法の表記はどう書けばいい」といった疑問は、JELのLINEから気軽に相談してください。法的な判断が必要な場合は専門家をご紹介することもできます。
開業の手続き・準備について気軽にご相談ください
まとめ
- 開業届は開業から1ヶ月以内に税務署へ。青色申告承認申請書も同時に提出する
- エステサロン(手技・一般的な機器)は保健所の届出は原則不要。施術内容によっては必要
- 光脱毛・レーザー脱毛は医療行為。エステサロンでは行えない
- ウェブサイトで販売・コース契約をする場合は特商法表記の設置が義務
- コース契約には8日間のクーリングオフがある。必ず書面を交付する
- 損害賠償保険への加入は全員必須
手続き関係は「難しそう」と後回しにしがちですが、後からトラブルになることの方が大変です。開業前にひとつひとつ確認して、安心してスタートを切ってください。






